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憲法の学習における最重要判例を詳しく取り上げ、関連する判例・法令・学説についてわかりやすく解説。憲法判例を読むことを通して、憲法を学ぶ上で修得すべき基礎知識の獲得を目指した意欲的な書。 第3版では、改訂版刊行(2019年)以降の民法(親子法)・刑法(拘禁刑)など重要な法改正を踏まえて改訂を行った。
目次
第1章 憲法と憲法上の権利 1 憲法の内容 1.立憲的意味の憲法 2.日本国憲法の内容 3.本書の内容 2 憲法の特質 1.硬性憲法 2.最高法規 3.国家権力の統制 3 憲法上の権利 1.「憲法上の権利」と「人権」 2.「憲法上の権利」の特質 3.本書の課題 4 憲法判例の基礎知識 1.判例の収集 2.判例の表記 3.判例の通称・略称 発展学習:近代立憲主義の現代的変容
第2章 裁判所と司法権 1 裁判所の種類・組織 1.最高裁判所 2.下級裁判所 3.一元的構成 4.審級制 2 裁判所の扱う事件 1.刑事事件 2.民事事件 3.行政事件 3 裁判所の権限 1.司法権 2.法律上の争訟 4 板まんだら事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.その後
第3章 違憲審査権 1 違憲審査権 1.裁判所と違憲審査権 2.違憲審査制の類型 2 警察予備隊訴訟 1.予備知識 2.事案の概要 3.原告の主張 4.法廷意見 5.法廷意見の内容と読解 3 日本国憲法上の違憲審査権 1.最高裁判所の見解 2.違憲審査権の性質に関するまとめ 3.付随的審査制の意味 4.付随的審査制の帰結
第4章 法の下の平等(1) 1 法の下の平等 2 予備知識 1.尊属 2.尊属重罰規定 3.刑の減軽と執行猶予 4.前史 3 尊属殺違憲判決 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.田中二郎裁判官の意見 5.手段違憲説と目的違憲説の対立 6.他の尊属重罰規定への影響 7.この判決の意義 8.その後
第5章 法の下の平等(2) 1 予備知識 1.親子法の予備知識 2.相続法の予備知識 2 非嫡出子相続分規定事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.反対意見 5.反対意見の内容と読解 6.法廷意見のポイント 7.その後 3 非嫡出子相続分規定違憲決定 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.その後
第6章 精神的自由(1) 1 表現の自由の位置づけ 1.基本権の類型化 2.精神的自由 3.表現の自由の重要性 2 表現の自由の保障内容 1.「表現の自由」の内容の拡張 2.表現の自由の具体的内容 3 表現の自由に対する規制 1.規制の許容性 2.基本的な考え方 3.「検閲」の禁止 4 予備知識:名誉毀損法制 1.名誉毀損 2.名誉の保護と表現の自由の調整 5 北方ジャーナル事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解
第7章 精神的自由(2) 1 予備知識 1.デモ活動とその規制 2.公安条例 3.許可制 2 新潟県公安条例事件 3 東京都公安条例事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.藤田八郎裁判官の反対意見 5.反対意見の内容と読解 6.その後
第8章 経済的自由 1 職業選択の自由 1.経済的自由 2.職業選択の自由の保障内容 3.職業選択の自由に対する規制 4.公衆浴場法事件 2 小売市場事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 3 薬事法違憲判決 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解4.その後 4 積極目的・消極目的二分論 1.判例法理の探求 2.目的二分論の普及 3.目的二分論の現状 4.目的二分論の問題点
第9章 二重の基準論 1 泉佐野市民会館事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 2 二重の基準論 1.二重の基準論の内容 2.二重の基準論の由来 3.二重の基準論の論拠と難点 4.二重の基準論の考え方
第10章 適正手続 1 権利の手続的保障 1.手続の重要性 2.基本権保障のあり方 3.適正手続 2 予備知識 1.付加刑としての没収 2.問題の所在 3.前史 3 第三者所有物没収事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.対応 4 憲法31条 1.憲法31条の由来 2.憲法31条の保障内容
第11章 包括的基本権 1 包括的基本権 1.基本権条項の歴史性 2.幸福追求権 2 京都府学連事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.この判決の意義 3 憲法13条の意義・機能 1.「無名の権利」「新しい権利」の保障 2.包括的基本権 3.憲法13条の保障範囲 発展学習:一般的行為自由説の意義
第12章 選挙権 1 参政権 1.参政権の意義 2.参政権の内容 3.選挙に関する憲法上の原理 2 「1票の格差」訴訟 1.問題の所在 2.訴訟の誕生 3 昭和51 年判決 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4 衆議院に関する判例の展開 1.中選挙区制の下での展開 2.小選挙区比例代表並立制の導入 3.小選挙区制の下での展開 発展学習:近時の展開
第13章 基本権の主体 1 基本権の主体の問題 1.問題の所在 2.外国人の基本権 2 マクリーン事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.この判決の意義 3 権利の性質の具体例 1.出入国関連の自由 2.平等 3.自由権 4.社会権 5.参政権
第14章 基本権の私人間効力 1 基本権の私人間効力 1.オーソドックスな考え方 2.問題の発生 3.私人間効力論に関する諸学説 2 三菱樹脂事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.その後 3 間接効力説の実例 発展学習:私人間効力論と基本権保護義務
第15章 公務員の基本権(1) 1 公務員の基本権 1.理論的問題 2.実際的問題 2 公務員法の基礎知識 1.公務員 2.公務員法上の公務員 3.公務員の政治活動の制限 3 猿払事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.その後 発展学習:特別権力関係
第16章 公務員の基本権(2) 1 労働基本権 1.労働基本権の内容 2.労働基本権保障の意義・趣旨 3.労働基本権保障の効果 2 公務員の労働基本権 1.公務員の労働基本権の歴史 2.公務員の労働基本権の制限 3 判例の変遷 1.第一期 2.第二期 3.第三期 4 全農林警職法事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.その後
第17章 統治行為論 1 予備知識:解散権論争 1.衆議院の解散 2.抜き打ち解散 3.解散権論争 2 苫米地事件 1.事案の概要と経過 2.法廷意見 3.法廷意見の内容と読解 4.その後 3 統治行為論 1.「統治行為論」と「政治問題の法理」 2.統治行為論の根拠 3.統治行為論の適否 4.統治行為論の意義
著者 櫻井 智章(さくらい ともあき) 甲南大学法学部教授
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