商品の紹介
核物理学の専門家である著者の2017〜2022年にメディア掲載された論文・書評集。核の持つ社会・歴史・思想的な意味、また戦争、国家、自然と科学の限界等、時事的な問題群に対するリアルタイムな解析の試み。核とその諸問題をめぐって論を展開し、核なき世界がいかに体現されるかを描き出す、現代と未来をつなぎ共にこれからを考えるための書。
目次
思想からみたロシア革命――マルクスの思想と社会主義 池内了『科学の限界』ちくま新書、二〇一二年 日本近現代史と天皇――復古と維新 核なき世界への道――量子力学と西田哲学が指し示す未来 滝沢神学と天皇制――イエスと天皇 メディアの革命から革命のメディアへ――テクノロジーの変容の彼方に 入江昭『歴史家が見る現代世界』講談社、二〇一四年――「国家の歴史」から「世界の歴史」へ 天皇制の成立――逆説の王権 思想的背景から見た抑止の現在と未来 中村桂子『科学者が人間であること』岩波新書、二〇一三年 自然に対する支配の終わり――自然災害・原発事故・感染症 人新世の科学論――斎藤幸平『人新世の「資本論」』を読んで 人新世の社会主義――社会主義二〇〇年 勝者なき戦争――核とネットワーク あとがき 初出一覧
著者紹介
内藤 酬(ないとう しゅう) 1951年生まれ。京都大学理学部卒。同大学院博士課程修了。理学博士。大学院在学中、高エネルギー物理学研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)の研究グループに参加し、高エネルギー陽子加速器を用いた素粒子物理学の実験的研究に従事。大学院修了後、防衛庁防衛研修所(現・防衛省防衛研究所)助手として、戦略理論と国際政治の研究と教育を担当。核兵器と核戦路の研究に従事。ライオグランデ大学日本校講師、河合塾小論文科講師を歴任。専攻、国際政治学・現代文明論。戦争と平和、科学と文明、思想と哲学などの問題に興味をもっている。著書に『核時代の思想史的研究』(北樹出版、1985年)、『日本革命の思想的系譜』(同、1994年)『全共闘運動の思想的総括』(同、2010年)、『地球社会学の構想』(同、2023年)がある。
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