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核物理学の専門家である著者の2009〜2017年にメディア掲載された論文集。科学批判、科学と社会、国家、戦争、エコロジーとテクノロジー、3.11、核とその抑止力等、時事的な問題群に対するリアルタイムな解析の試み。テーマは多岐にわたり、「科学」がいかに現代という時代の上に着地するのか、あるいは、着地すべきなのかを描きだす。
目次
広重徹『科学の社会史』――科学批判の原点 内村艦三と西田幾多郎――天皇制国家における異端の系譜 滝沢先生と私――一九八二年の往復書簡 内村鑑三と有島武郎 現代科学の自然認識と社会――自然科学と人間をめぐって 巨大科学――国家の枠限界(中馬清福氏との対談) 現代科学の「岩」と「上部建築」――自然認識と研究体制の亀裂 現代科学の地平に甦る縄文の精神 グローバル化の両義性と歴史の弁証法 集団的自衛権行使の虚構と現実 抑止力をめぐる言説――平和を守る軍事力の虚構 宮崎駿『風の谷のナウシカ』一九八四年――テクノロジーとエコロジー 地球社会学の構想――地球共和国への道 核をめぐる構造の起源――三・一一以後の核 核なき世界への出口を求めて――ヒロシマ・ナガサキから七〇年、フクシマをこえて 元始、女性は太陽であった――女神と女帝 戦後社会への呪詛――清水幾太郎と保田與重郎 軍事研究と基礎科学――原子核物理学と原爆開発計画の狭間で あとがき 初出一覧
著者紹介
内藤 酬(ないとう しゅう) 1951年生まれ。京都大学理学部卒。同大学院博士課程修了。理学博士。大学院在学中、高エネルギー物理学研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)の研究グループに参加し、高エネルギー陽子加速器を用いた素粒子物理学の実験的研究に従事。大学院修了後、防衛庁防衛研修所(現・防衛省防衛研究所)助手として、戦略理論と国際政治の研究と教育を担当。核兵器と核戦路の研究に従事。ライオグランデ大学日本校講師、河合塾小論文科講師を歴任。専攻、国際政治学・現代文明論。戦争と平和、科学と文明、思想と哲学などの問題に興味をもっている。著書に『核時代の思想史的研究』(北樹出版、1985年)、『日本革命の思想的系譜』(同、1994年)『全共闘運動の思想的総括』(同、2010年)、『核なき世界への道』(同、2023年)がある。
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