商品の紹介
女の子たちはどのように表象され、そして今、自らを表現しているのか? 広告、映画、音楽、メイド喫茶、援助交際、ダンス、ファッション、アート、zine、社会運動のテーマから社会に新たな視座を提示する。
〈執 筆 者〉
田中東子(編著) 竹田恵子 上村陽子 中條千晴 中村香住 東園子 有國明弘 渡辺明日香 村上潔 梁・永山聡子(著)
〈目 次〉
はじめに
パート1 表象と解釈
第1章 どんな女の子でもどこにだって行ける :ハリウッド映画における女性表象 1.フェミニズム映画批評の歴史 2.ポストフェミニズム的状況と映画 3.「美しく主体的な女性」と映画 4.『ワンダーウーマン』(2017)と『キャプテン・マーベル』(2019) :2つのアメコミ原作女性ヒーロー映画の比較 (1)原作比較 (2)映画『ワンダーウーマン』(2017)、『キャプテン・マーベル』(2019)比較 5.まとめ
第2章 広告の “もうひとつ” の光景 :多様化する女性表象とオーディエンス 1.広告メディアに潜むジェンダー表象と新しいメディア・コミュニケーションの誕生 2.ジェンダー表象の変容とそれらをめぐる議論 (1)メディアにおける女性像、性別役割分業への批判の始まり (2)「女性とメディア」研究の発展 (3)「女性とメディア」研究から「ジェンダーとメディア」研究へ 3.化粧品広告における女性の美 (1)身体美の4要素 (2)「あこがれ」としての「東洋美」の表れ 4.規範への「抵抗」を表現する広告とSNSの可能性 (1)SK-Uのキャンペーン広告「運命を、変えよう。#changedestiny」 (2)ポストフェミニズムにおける女性表象 5.まとめ
第3章 ジェンダーの視点からポピュラー音楽を読み解く 1.音楽産業界における女性たち:日本とアメリカ (1)アメリカ産業界における女性たち (2)日本の音楽産業界における女性たち (3)2010年以降の女性ミュージシャン 2.音楽とジェンダー批評に関する学術的アプローチ (1)表象文化的アプローチ (2)文化産業論的アプローチ (3)音楽史・音楽社会学的アプローチ (4)聴くことにおける能動性 3.現代の日本のアーティストの事例から考えてみよう (1)ジェンダーバイアスを再生産するもの (2)従来の「かわいい」に抗する 4.まとめ
第4章 メイドカフェ店員のSNSブランディング :アイデンティティの維持管理という時間外労働 1.メイドカフェにおけるSNS利用という現象 (1)メイドカフェとはどのような場所か (2)メイドカフェ店員がSNSを利用する理由 (3)女性のSNS利用とメイドカフェでの労働 2.インタビューからみるメイドカフェ店員によるSNS労働の実態 (1)メイドのSNS利用についてのインタビュー (2)時間外労働であり営業ツール (3)メイドとしてのアイデンティティの維持 3.デジタルメディアを用いた情動労働 :アイデンティティの表象、可視性、セルフ・ブランディング (1)「情動労働」と「やりがいある仕事」 (2)メディアを通した「自己表象」とアイデンティティ (3)可視性と望ましい「女らしさ」 4.フィールドのなかでインタビュー調査を行うコツ (1)フィールドに足繁く通い、気づいたことをメモに残す (2)フィールドのなかにいる人と交流する (3)実際にインタビューを行う 5.まとめ
第5章 女子高生ブームと理解による支配:援助交際をする〈美少女〉 1.1990年代の女子高生ブーム 2.『制服少女』の援交女子高生論 (1)『制服少女』の援交女子高生論 (2)傷をめぐる誤謬 3.援交女子高生論と男性性 (1)援交女子高生を擁護した動機 (2)新『制服少女』における主張 (3)『〈美少女〉の現代史』の議論 (4)〈美少女〉としての援交女子高生 (5)ヘゲモニックな男性性論 (6)男性性の一考察としての〈美少女〉論 4.社会調査の心得 5.理解による支配と現代社会
パート2 交渉と実践
第6章 メディアをまとい闘うBガール 1.「ストリート」を男性的な空間として構築するジェンダー構造 (1)メディアによって「女性化」される女性アスリート (2)「ストリート」は本当に「誰にでも開かれた」空間か? (3)「ストリート」で踊らなくてもBガールになれる? 2.Bガールの実践を読み解くために (1)「まなざし」 (2)ジェンダーを「する」 (3)「エンコーディング/デコーディング」 3.「ストリート」と闘うBガールの実践を分析してみる (1)ストリートダンスバトルにおける「支配コード」 (2)「支配的な読解」を裏切るためのジェンダー・パフォーマンス 4.まとめ:ダンスからジェンダーを考える
第7章 ファッションとInstagram 1.Instagramをめぐる新しいコミュニケーション 2.ファッション・メディアの変遷 (1)ファッション雑誌の変容 :雑誌モデル、読者モデル、ストリートスナップ (2)インターネット以降のファッション・メディア :情報の迅速性と双方向性 (3)インターネットとファッションブロガー :主体的な発信者の登場 (4)SNS生まれの森ガール (5)ファッション・ジャンルの喪失と量産型の登場 3.Instagramというファッション・メディア 4.SNSとファッション (1)若者のSNS利用に関する実態調査から (2)服から離れたファッション 5.Instagramをどのように研究するか
第8章 ジェンダー・トラブル・イン・アートワールド :日本アート界におけるジェンダーをめぐる問題 1.日本美術界のジェンダーをめぐる問題:教育という視点から 2.アートワールドの労働問題 3.日本美術界におけるジェンダーをめぐる動き 4.未来を創造するガール・アート 5.まとめ
第9章 ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践 :作るだけではないその多様な可能性 1.はじめに 2.ジン・カルチャーとフェミニズム:概観と歴史 (1)ジン/ジン・カルチャーとは (2)フェミニズムとジン (3)ジンの先人たち:19世紀から (4)ジンの先人たち:第二波フェミニズム/ウーマンリブ 3.現在のジン・カルチャーとフェミニズム (1)第三波フェミニズム/ライオット・ガール (2)クィア・カルチャー (3)アナーカ・フェミニズム(Anarcha-Feminism) (4)DIYフェミニズム (5)ポスト第三波の現在 4.ジン・カルチャーが本質的に問題とするポイント (1)人種 (2)階級 (3)障害 (4)体型 (5)身体性/生殖 (6)見えなくされている/無力化されている人たち (7)困難・抑圧の交差性・複合性・重層性 (8)教育としてのジン、スペースとしてのジン 5.ジン・カルチャーの展開 (1)ジンフェスト(フェア) (2)ワークショップ (3)ジン・ライブラリー 6.国際的なつながり・ローカルな営み 7.おわりに
第10章 「フェミニズム」と交渉する新しい運動 1.「声」を上げる意味:#MeTooフェミニズムが身近になった瞬間 (1)「声」を上げるまでの道のり (2)「声」を届ける空間を創る:ゆる・ふぇみカフェとは (3)運営メンバーの多様性が企画の多様性へと (4)時代依存的であるからこそ多様な世代と (5)バラバラの価値観をバラバラのままに 2.オンラインとオフラインの活用 (1)ゆる・ふぇみの運営方法(広報):誰に伝えるのか? (2)ゆる・ふぇみの運営方法(内部):どうやって運営していくのか? 3.本を読むこともフェミニズム運動のひとつである 4.フェミニズム運動の現場を知るには (1)調査方法:社会学・文化人類学の方法 :運動参加レポートを書いてみよう。 (2)既存の運動を探し、参加してみる (3)応用編:自分で運動を作ってみる! (4)誰と行動するのか? (5)運動を知ってもらうには?
第11章 女の子による、女の子のためのメディア研究に向けて 1.女の子とメディア文化 2.「ガールズ・スタディーズ」の広がり 3.メディア文化とフェミニズム
索引
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